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亜急性硬化性全脳炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
細矢光亮 (福島県立医科大学小児科教授)
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  • ■疾患メモ

    亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)は,麻疹ウイルスの脳内持続感染の結果生ずる,麻疹の遅発性中枢神経合併症である。麻疹罹患後,3~12年の潜伏期を経て発症する。

    一度発症すると数カ月から数年の経過で進行性に経過し,自然寛解はきわめて稀である。治療法は確立されておらず,現在でも予後の悪い疾患である。

    発症頻度は,自然麻疹罹患数万人当たり1人とされている。わが国では,麻疹患者数が減少した現在,年間数例の発症がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    初期には大脳の機能低下による性格変化,行動異常,睡眠障害,記銘力低下,学力低下などの精神神経症状がみられる。

    緩徐に進行し,やがて様々な痙攣,麻痺,不随意運動,ミオクローヌスなどの運動徴候が出現し,しだいに歩行や坐位が不能になる。同時に知能低下も進行し,顕著になる。

    意識障害が進行すると昏睡に至る。球麻痺症状も出現し経口摂取不能となり,呼吸,循環,体温などの自律神経機能も侵される。

    さらに進行するとミオクローヌスはほとんど消失し,Moro様反射などの原始反射が出現する。筋緊張は著明に亢進し,体幹四肢が拘縮する。脳皮質機能が高度に傷害され,いわゆる植物状態になる。

    【検査所見】

    抗麻疹抗体価:血清およびCSF(central spinal fluid)中の抗麻疹抗体価が上昇する。特にCSF中の抗体価上昇はSSPEに特異的であり,検出されれば診断的意義は高い。

    脳波検査:左右同期性または非同期性に3~20秒間隔で出現するPSD(periodic synchronous discharges)を認める。進行するとPSDは消失する。

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