□圧迫性ニューロパチーでは手根管症候群が最多である。
□補助診断としての電気生理検査は治療予後の判定,他疾患との鑑別にきわめて重要であり,電気診断に精通した専門医との連携が望ましい。
□手術治療については,原因によって自然経過での予後が異なるため,整形外科医と協力し,正確な原因診断と慎重な経過観察が必要である。
□圧迫性ニューロパチーについては,頻度の高いものを中心に,以下のようなものがある。
□手掌から母指・示指・中指および環指の橈側(正中神経領域:図)のしびれや疼痛,進行すると短母指外転筋などの萎縮。
□夜間,特に明け方に症状が強く,手を振ることで軽快する特徴(flick sign)がある。
□自覚的なしびれ感は正中神経領域のみに限局せず,手全体,前腕,時には上腕にも放散することがあるので注意が必要。
□Tinel徴候(手根管部の叩打による放散痛),Phalen徴候(手関節の屈曲位を1分間維持した場合の異常感覚の増悪)などが特徴的。
□電気生理検査では神経伝導検査(nerve conduction study:NCS)を行う。典型的には手関節部刺激・短母指外転筋記録での運動神経伝導検査(motor nerve conduction study:MCS)で遠位潜時(distal latency:DL)の延長,感覚神経伝導検査(sensory nerve conduction study:SCS)で手関節部刺激・示指記録での感覚神経伝導速度(sensory nerve conduction velocity:SCV)低下がみられるが,これらの方法の異常検出感度は高くはない。
□手根管症候群が臨床的に疑われる患者において,通常のルーチンのNCSで異常を認めない場合には環指比較法や虫様筋─掌側骨間筋比較法などの感度の高い方法が推奨されている1)。ただし,その感度の高さゆえに,糖尿病患者では手根管症候群ではない場合にも異常を認めることがあるので,その解釈には注意が必要。
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