□片頭痛の診断で重要なのは,①頭痛が発作性であるか,②体動による増悪があるか,③頭痛時に吐き気を伴うのか,④光過敏・音過敏の症状を持っているか,である。
□「前兆のある片頭痛」では,眼前にきらきらした光・点・線が見える,あるいは視覚消失を訴える閃輝暗点が特徴である。
□片頭痛の病態は大脳皮質の神経細胞の過剰興奮による「神経説」や三叉神経と頭蓋内血管との関係に注目した「三叉神経血管説」が提唱されている。
□わが国の年間有病率は8.4%で,20~40歳代の女性に多く,未成年者では高校生9.8%,中学生4.8%である1)。
□診断には「国際頭痛分類第3版(ICHD-3β)」2)を用いる。
□片頭痛の治療は,セロトニン5HT1B/1D受容体作動薬のトリプタンが中心である。
□片頭痛は,ICHD-3βで一次性頭痛に分類されており,日常診療で遭遇する機会が多いのは,「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」である。
〈前兆のない片頭痛〉
□片頭痛の特徴として,①片側性,②拍動性,③中等度以上の頭痛,④動作による頭痛の増悪,の4項目が挙げられ,この中の2項目以上を満たす必要がある。
□小児あるいは青年(18歳未満)の片頭痛は成人の場合に比べて両側性であることが多い。
□片側性の頭痛は青年期の終わりか成人期の初めに現れるのが通例である。
□片頭痛の痛みは通常,前頭側頭部に発生する。小児における後頭部痛は稀であり,診断上の注意が必要である2)。
〈前兆のある片頭痛〉
□前兆症状は通常5分以上かけて徐々に進展し,前兆発現後60分以内に頭痛が発現するのが特徴である。
□視覚性前兆は最も一般的なタイプの前兆であり,閃輝暗点(scintillating scotoma)として現れる場合が多い。
□ついで頻度が高いのは感覚障害で,チクチク感として現れ,発生部位から身体および顔面の領域に様々な拡がりをもって波及する。
□さらに頻度は低いが,失語性言語障害が現れる場合もある2)。
□一次性頭痛と二次性頭痛との鑑別に画像診断(CT/MRI)が重要である。
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