□大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)は近年,世界的に認知された新しい概念である。大腿骨や寛骨臼に骨形態異常があり,インピンジ(衝突)することにより股関節痛を誘発する。
□変形性股関節症の一因とされ,スポーツ損傷としても注目されている。世界的にコンセンサスを得た診断基準はない。
□股関節痛,股関節可動域制限(特に内旋制限)。
□①寛骨臼に骨形態異常があるpincer type FAIと,②大腿骨に骨形態異常があるcam type FAIがある(図)1)。
□pincer typeのインピンジメントを示唆する所見:
①CE角*2 40°以上
②CE角*2 30°以上かつacetabular roof obliquity(ARO)0°以下
③CE角*2 25°以上かつcross-over sign*3陽性
□正確なX線正面像による評価を要する。特にcross-over sign*3は偽陽性が生じやすいことから,③の場合においてはCT,MRIで寛骨臼のretroversion*4の存在を確認することを推奨する。
□cam typeのインピンジメントを示唆する所見:
①CE角25°以上
②主項目:α角*5(55°以上)
③副項目:head-neck offset ratio*6(0.14未満),pistol grip変形*7,herniation pit*8
(主項目を含む2項目以上の所見を要する)
□X線,CT,MRIのいずれによる評価も可。
□以下の画像所見を満たし,臨床症状(股関節痛)を有する症例を臨床的にFAIと判断する。
①前方インピンジメントテスト陽性(股関節屈曲・内旋位での疼痛誘発を評価)
②股関節屈曲内旋角度の低下(股関節90°屈曲位にて内旋角度の健側との差を比較)
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