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膝離断性骨軟骨炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-21
石川正和 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科医歯薬学専攻医学講座整形外科学)
安達伸生 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科医歯薬学専攻医学講座整形外科学教授)
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  • ■疾患メモ

    離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:OCD)は若年者における原因不明の軟骨下骨の局所病変と定義されている。病変部の不安定性を有するものは関節軟骨組織の破綻1)をきたし,若年者の早期変形性関節症へとつながることが問題となる。

    大腿骨顆部がその発生部位として最も多く,幼少期からのスポーツへの参加,特に限定した競技への参加と激しい練習による活動性の高い若年者に発症することから,繰り返される微小外力がその最たる原因として考えられている。

    しかし,その発生機序はいまだ明らかにされておらず,治療方法も確立されていない。

    人口10万人に対して10~30人/年の発生頻度であることが報告されている。

    男女比は2:1~4:1。

    好発年齢はAichrothによると平均18歳,最近では平均13歳との報告がある(早期スポーツへの参加,診断技術の向上により好発年齢は若年化している)2)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    特に外傷の既往なく膝痛を訴える。スポーツ活動時に膝痛を生じるが,疼痛部位はあいまいなことが多く,外来受診時においても明らかな圧痛点を認めることは少ない。

    病変部が不安定な場合もしくは遊離体を生じた場合は,膝の引っかかり感,突然の膝可動域制限にて受診することが多い。

    Wilsonテストは大腿骨内側顆OCDにおいて,膝屈曲90°から30°付近へ伸展する際に下腿を内旋させることにより疼痛を誘発するが,その陽性率は低い。

    Aichrothによると,OCDの中でも膝離断性骨軟骨炎は,85%が大腿骨内側顆(classical,extended classical,infero-central),15%が大腿骨外側顆(infero-central,anterior)に発生すると報告されている(図13)。近年の報告では63%が大腿骨内側顆,32%が大腿骨外側顆に発生することが報告されており,膝蓋骨,大腿骨滑車部は数%と非常に稀と考えられている。

    15_79_膝離断性骨軟骨炎

    約10%に両側例を認める。

    アジア人では外側円板状半月の発生頻度が高いことと関連し,外側顆OCDの発生頻度は欧米人より高い。

    【検査所見】

    〈X線〉

    膝3方向(正面,側面,軸位)に加え,Rosenberg撮影を行う。両側例を認めるため,両膝の撮影が望まれる。

    骨端線の開存,病変部の位置および大きさを確認する。病変部の骨吸収像,遊離骨片および母床の骨硬化像の有無を評価する。7歳以下の小児では骨端部の正常骨化過程の変化をとらえているだけのこともあり,無症候性の場合はその診断に注意を要する。

    〈MRI〉

    不安定性の評価のためMRI撮影を行う。T2強調像による軟骨下骨の高信号領域の評価が非常に重要となる。不安定性を示唆する4つの所見として,①病変部と母床間に存在する線状高信号領域,②関節軟骨の局所欠損像,③関節軟骨の連続性の途絶,④軟骨下骨の嚢胞形成,がある。

    〈CT〉

    OCDは局所の骨病変であるため,CTによる骨組織の評価が非常に有用である。骨硬化像,骨嚢胞を伴う母床の評価,遊離骨片の確認および術後の治癒過程の評価において,非常に有用な検査である。

    関節鏡所見:International Cartilage Research Society(ICRS)による分類を用いて病期を分類する(図24)

    15_79_膝離断性骨軟骨炎

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