□尿道狭窄はいろいろな原因で引き起こされ,排尿障害をきたす。高度な場合は尿閉となる。
□男性に多くみられ球部尿道に多いが,外尿道口,振子部尿道,膜様部尿道にもみられる。頻度は少ないが女性にも発症することがある。
□治療法は内視鏡的治療や開放手術などの外科的治療が選択される。
□尿勢低下,尿線細小,腹圧排尿などの排尿障害をきたし,高度な場合は尿閉となる。
□尿道狭窄の原因には以下のようなものがある。治療法にも関係するので触れておく。
□以前は淋菌性尿道炎による尿道狭窄がみられたが,抗菌薬投与により後遺症を残さず治癒するため最近は少ない。稀であるが尿路結核の治療後に狭窄になることもある。包皮炎など,外尿道口近傍の炎症により包皮や尿道口の狭窄をきたすこともある。
□鉄棒や塀などで足を踏み外して会陰部を下から打撲すると,恥骨との間に尿道が挟まれて尿道損傷をきたす。騎乗型尿道損傷と言い,治癒過程で狭窄をきたすことがある。主に球部尿道に発症する。
□交通事故などで骨盤骨折すると膜様部尿道・前立腺部尿道が損傷され,治癒過程で尿道狭窄をきたすことがある。高度な場合は尿道断裂をきたすこともある。
□経尿道的処置・検査・手術の増加により,尿道狭窄の多くが医原性である。
□尿道カテーテル挿入:尿道カテーテル挿入により尿道粘膜を損傷し,狭窄になることがある。尿道カテーテルを長期間留置すると,血流障害により尿道粘膜が壊死を起こし狭窄になることもある。
□経尿道的手術後:前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術,膀胱腫瘍に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術,膀胱結石や尿管結石に対する経尿道的手術などの術後合併症として尿道狭窄がある。球部尿道に多いが,振子部尿道,外尿道口にきたすこともある。
□尿道手術後の尿道狭窄:前立腺癌に対する根治的前立腺摘除術後の膀胱尿道吻合部の狭窄,尿道下裂の手術後の尿道狭窄など,尿道の手術後に狭窄をきたすこともある。
□放射線治療後の尿道狭窄:前立腺癌に対する放射線治療後に尿道狭窄をきたすこともある。小線源療法,外照射療法ともに可能性がある。長期間を経た後に発症することが多い。
□診断は逆行性尿道造影で狭窄部の部位・程度・距離を確認する。
□狭窄の程度は内視鏡でも確認できる。高度な場合はピンホール状になる。
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