□歯あるいは歯周組織に外傷力が加わると,その方向,力の大きさにより歯と歯周組織に様々な破壊が生じる。大まかには破折性の外傷と脱臼性の外傷の2つに大別することができる。
□どの組織にどのような外傷が起きているか診断することにより治療法を決定する。そのためには歯と歯周組織の解剖を理解することが必要であり,模式図を参考にして頂きたい(図)1)。
□外傷歯とその周辺の歯牙に打診痛,冷水痛,咬合痛などを生じ,歯髄まで破折するような外傷の場合は,顕著な自発痛を生じる。
□問診:いつ,どこで,どのように外傷が起きたかを,患者本人または付き添いの方に尋ね,歯牙破折片,脱離歯牙があるか,持参しているか,どのように保存してきたかを必ず聞く。また,外傷の既往の有無も確認しておく。
□口腔内所見:視診により軟組織の裂傷,出血の程度を確認する。出血や汚染がある場合は受傷部位を生理食塩水で洗浄し,止血処置を施行した後に歯の破折,変位,喪失,露髄(歯髄の露出)の有無や程度を確認する。また,触診にて歯牙の動揺,打診痛,自発痛の有無を確認する。
□X線所見:パノラマX線撮影,歯科用デンタル撮影にて,歯牙の破折部位,変位,骨折の有無などを確認する。これにより,破折位置の診断,脱臼の有無,歯槽骨骨折の有無などを診断でき,時には軟組織に埋入した歯牙破折片や異物を確認することができる。
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