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乳糖不耐症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-29
清水俊明 (順天堂大学医学部小児科学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    乳糖不耐症(lactose intolerance)は乳糖分解酵素(ラクターゼ)の欠損もしくは活性が低下することにより,乳糖を分解,吸収することができず,乳糖の消化吸収障害をきたし,腹痛,下痢,腹部膨満などの消化管症状を生じる疾患である1)

    原因としては,民族・人種性,先天性などの一次性の乳糖分解酵素欠損症と,小腸粘膜傷害による一過性の二次性とにわけられる。

    一次性の中の先天性乳糖分解酵素欠損症は,生後まもなく乳糖を含む母乳や人工乳を摂取した後に下痢,腹痛,体重増加不良などを生じる。

    二次性はウイルス性胃腸炎,特にロタウイルス胃腸炎に罹患することにより発症することが多く,小腸粘膜に絨毛萎縮,陰窩の増殖,炎症性細胞浸潤などが生じる。これによりNa/ブドウ糖輸送や二糖類吸収などの障害が起こる。その他,化学療法,炎症性腸疾患,短腸症候群に合併する細菌異常増殖症なども乳糖不耐症を生じることがある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    乳糖摂取により下痢,腹痛,鼓腸,腹部膨満,腹鳴を認める。

    便性は水様性で頻回となり,腹痛は反復性の痙性腹痛である。

    新生児期あるいは乳児期早期には,体重増加不良を合併することもある。

    【検査所見】

    脱水の評価として,電解質,血液ガス検査によるアシドーシス,尿酸,尿素窒素などを検査する。

    貧血,低血糖の有無,アルブミン,総蛋白などの栄養評価も重要である。

    その他,炎症反応評価を行い,必要であれば免疫機能評価なども進めていく。

    一時的な乳糖除去による便性や症状の改善と,再摂取による症状の再現を認める。

    便中還元糖の検査として,便中の糖が0.5g/dL以上を示す。

    便中pH 5.5未満が診断基準となるが,乳児,特に母乳栄養児の場合には酸性便であるため,他の検査と併せて評価する。

    乳糖の吸収能を評価するために,2g/kgの乳糖を10%溶液として経口摂取させ,負荷前,30分後,60分後,90分後,120分後の血糖値を測定する。血糖値の上昇が20mg/dL未満であれば,乳糖吸収不全であると判断される。

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