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レジデントのための これだけ抗菌薬

研修医に必要な最低限の知識をコンパクトにまとめた入門書

定価:4,840円
(本体4,400円+税)

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著: 高野哲史(済生会横浜市東部病院 総合内科)
判型: B5変型判
頁数: 304頁
装丁: カラー
発行日: 2024年12月19日
ISBN: 978-4-7849-0155-5
版数: -
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

「本当に“これだけ”にしてしまい、すみません」
抗菌薬はもちろん、抗真菌薬、抗ウイルス薬、それらを使いこなすための土台となる感染症診療の基本的な考え方、臨床で出会う主要な微生物のまとめなど、この本一冊でベッドサイドで抱えがちな感染症診療の悩みの大部分を解消できるのではないか、という自負があります。(まえがきより)

第1章 感染症診療の基本的アプローチ
第2章 細菌のグルーピング
第3章 β-ラクタム系抗菌薬
第4章 β-ラクタム系以外の抗菌薬
第5章 抗MRSA薬
第6章 抗真菌薬
第7章 抗ウイルス薬
付録1 術後感染症予防のための抗菌薬の使い方
付録2 抗微生物薬「略号・一般名・商品名」早見表
付録3 妊娠と抗微生物薬
(B5変型判フルカラー304ページ・電子版付き)

★本書の1章にあたる部分を解説した、Web医事新報チャンネル特別セミナー『レジデントのための 感染症診療の組み立て方』が好評配信中!本書とあわせてぜひご覧ください。

診療科: 内科 感染症

目次

第1章 感染症診療の基本的アプローチ
1.1 感染症診療のロジック
1.2 その① 患者背景の把握
1.3 その② 感染臓器の診断
1.4 その③ 原因微生物の推定
1.5 その④ 抗微生物薬の選択
1.6 その⑤ 治療経過の予測と評価

第2章 細菌のグルーピング
2.1 7つのグループに分ける
2.2 グラム陽性ブドウ球菌
2.3 グラム陽性連鎖球菌
2.4 グラム陰性桿菌
2.5 グラム陽性桿菌
2.6 グラム陰性球菌
2.7 グラム染色で染まらない細菌
2.8 真菌

第3章 β-ラクタム系抗菌薬
3.1 β-ラクタム系抗菌薬の特徴
3.2 ペニシリン系抗菌薬
3.3 セフェム系抗菌薬
3.4 カルバペネム系抗菌薬
3.5 モノバクタム系抗菌薬

第4章 β-ラクタム系以外の抗菌薬
4.1 どんなときに使うか
4.2 フルオロキノロン系抗菌薬
4.3 テトラサイクリン系抗菌薬
4.4 マクロライド系抗菌薬
4.5 アミノグリコシド系抗菌薬
4.6 ST合剤
4.7 メトロニダゾール
4.8 リンコマイシン系抗菌薬

第5章 抗MRSA薬
5.1 抗MRSA薬とは
5.2 グリコペプチド系抗菌薬
5.3 リポペプチド系抗菌薬
5.4 オキサゾリジノン系抗菌薬
5.5 抗MRSA薬のまとめ

第6章 抗真菌薬
6.1 真菌感染症のアプローチ
6.2 アゾール系抗真菌薬
6.3 エキノキャンディン系抗真菌薬
6.4 ポリエン系抗真菌薬
6.5 その他の抗真菌薬
6.6 カンジダ血症のマネジメント

第7章 抗ウイルス薬
7.1 ウイルス感染症のアプローチ
7.2 抗インフルエンザ薬
7.3 抗ヘルペスウイルス薬
7.4 COVID-19治療薬

付録1:術後感染症予防のための抗菌薬の使い方
付録2:抗微生物薬「略号・一般名・商品名」早見表
付録3:妊娠と抗微生物薬

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序文

本書『これだけ抗菌薬』は読んで字のごとく、なんと抗菌薬についてのみ書いた教科書ではありません。
抗菌薬のことはもちろん、抗真菌薬、抗ウイルス薬、それらを使いこなすための土台となる感染症診療の基本的な考え方、臨床で出会う主要な微生物のまとめなど、「痒いところに手が届く」どころか、何が原因で痒いのか、痒みのメカニズムは何か、どの手でポリポリかくのが一番気持ちいいのか……に迫らんばかりの充実したコンテンツで構成されています。
手前味噌で恐縮ながら、この本1冊だけでベッドサイドで抱えがちな感染症診療の悩みの大部分を解消できるのではないか、という自負があります。皆さんの感染症診療への理解を進める材料として通読してもよし、ベッドサイドでパッと見るクイック・リファレンスとしてもよし、末長くお役立ていただければ著者として恐悦の至りです。(まえがきより)

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レビュー

【書評】『レジデントのためのこれだけ抗菌薬』読みやすくフェアでオーセンティックなテキスト

岩田健太郎 (神戸大学感染症内科教授)
ダニング・クルーガー効果と呼ばれる現象がある。ビギナーのときには自身を過大評価しがちで,経験と鍛錬を重ねるうちにその自信は減っていく。その後ゆっくりと能力と自信がシンクロして立ち上がっていく,というものだ。この現象の普遍性については学問的には賛否あるようだが,仮に普遍的ではないにしてもこういう現象自体はしばしば観察する。

本書は切れ味のよい断言口調で,読みやすい。しかし,それはビギナーのときに覚えた「ハウツー」を連呼しているのではない。「細かいことはクドクド,いろいろあるんだけど,まずはとりあえず捨象しておきましょうね」という断言口調だ。本書の想定読者は医学生や研修医だろうから,「あ,これでわかった」とスッキリするだろう。ちょっと勉強した後期研修医ならば,「でも,あのこととかこのこととか書いてないじゃないか」と重箱の隅をつつきたくなるかもしれない。ちょっと勘違いしたベテランドクターなら,「文章がわかりやすすぎて威厳が足りない」と見当違いな文句を言う可能性すらある。慧眼を持つ読者ならば,「ああ,著者はわかっていてあえてシンプルに書いているんだな」と見抜くだろう。ネットの時代にコンテンツを膨らませ続けるのは容易なのだ。難しいのは,何を割愛するか,だ。

どの領域でもそうだと思うが,感染症診療においても大切なのは情報ではなく,原則だ。本書の端々にその原則がピシッと筋を通しているのがわかり,著者がオーセンティックな感染症のトレーニングを受けてきたことが伺われる。各医薬品に対する態度もフェアで,ともすれば散見されやすい「利益相反的なエコヒイキ」もみられない。

抗菌薬は当該微生物に対する効果だけでは評価できず,そこにはエビデンスも必要だし,他の薬との相対評価も必要だ(今,薬の説明会で禁止されてる,あれである。相対評価ができなければ薬を使うことは不可能なのに,ね)。そこもしっかりしているので本書は安心して読める。なぜ,バンコマイシンがファーストラインで,ダプトマイシンはセカンドなのか。なぜ,イトラコナゾールやポサコナゾールは,その薬効にもかかわらずポジショニングで不利なのか。原則がしっかりと説明されている。

医学生や研修医が読むべきは,読みやすいけれどもフェアでオーセンティックなテキストだ。本書はまさにそういう一冊だ。惜しむらくは表紙である。私は面食いなので,装丁はモダンにしてほしかった。

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