著: | 横江正道(名古屋第二赤十字病院第二総合内科部長) |
---|---|
判型: | B5判 |
頁数: | 202頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2019年12月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-5732-3 |
版数: | - |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
私が岐阜大学医学部3年生のとき,クラブ活動中に先輩方が話していたことを今でもよく覚えています。先輩たちは,その話の中で口をそろえて「医学部が理系なのは,単に病気の名前や症状を覚えるだけでなく,『どこに異常が起こるとこんなことが起きる』ということが考えられて,そしてその結果,異常の出方や臓器によって症状が変わってくるからである」と言っていました。当時,ちょうど基礎医学の解剖学や生理学を学び始めた自分にとって,基礎医学の重要性を実感するとともに,病態生理の重要性を教わった瞬間でもあります。
国家試験を終えて研修医から上級医になり,専門医の資格を取るようなプロセスを日本の医師はたどるわけではありますが,診断が違っていれば病気を治すことはできず,そもそも診断に至らないケースもあります。患者さんを幸せにするうえでの診断学はとてつもなく大切なことです。ともすると,「CTが読める,MRIが読める」ということが診断学と考えがちではありますが,映っていなければ診断には至りません。しかし,「こういう病気のこういう症状はこういうメカニズムで起こる」と医師が理解していれば,検査値が典型的な結果にならずとも,画像診断が典型像を示していなくても,診断に近づくことはできます。所見がないと病気がないと考えてしまうことはありがちですが,所見がなくても症状があれば,患者さんのためを思うのが医師としてすべきことのように思います。だから「検査値がそろわなくても,患者さんが入院して経過観察すべきときに患者さんを帰してはいけない」と多くの道の多くの先輩方が,多くの書籍で語っているのでしょう。
本書は,そんな気持ちを背景に,よくあることを「あるある」,まれだけど見逃したくない,忘れてはいけないことを「やばやば」,医師として切れ味のある診療を「キレキレ」と考えて,研修医の初学者などにも役立つよう平易なことばで作成させて頂きました。経験談も交えており,決してプロフェッショナルなできあがりではないかもしれませんが,読んで頂いた皆さんの日常診療のヒントになれば幸いです。執筆の機会を頂いたことに感謝しております。
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。