(群馬県 K)
ご指摘のように,会社法では,取締役は,毎事業年度の終了後一定の時期に株主総会を招集し(会社法第296条1項・定時株主総会),計算書類(貸借対照表,損益計算書等)および事業報告書ならびにこれらの附属明細書を提出し,承認を得なければなりません(同法第438条)。取締役がこの定時株主総会を招集しなかったときは,100万円以下の過料という制裁もあります(同法第976条18号)。
決算書の送付を無視された場合の対抗手段ですが,まず,総株主の議決権の3/100以上または発行済株式の3/100以上の数を保有する株主は,会社に対して会計帳簿の閲覧を請求することができ,会社は正当な理由なくこれを拒むことができません(同法第433条)。会社が株主の請求に応じない場合は,訴訟により会計帳簿の閲覧を求めることとなります。
決算書の内容を知るだけの目的を達成するには,この会計帳簿の閲覧請求で足りますが,決算書の内容について,取締役から説明を受けたり質問したりするには,株主総会の招集を求める必要があります。定時株主総会を招集しない場合は,取締役に対する過料の制裁を求める上申書を裁判所に提出して,この招集を促すことが考えられます。それでも招集しない場合は,総株主の議決権の3/100以上の議決権を6カ月前から引き続き保有する株主は,取締役に対して招集を請求し,さらに取締役がこれに応じない場合は,裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集することもできます(同法第297条)。
質問者は,発行済株式の2割程度を保有しておられるので,会計帳簿の閲覧請求および株主総会の招集請求等ができます。
【回答者】
堀 克巳 駅前通り法律事務所 弁護士