医療機関において日常的に取り扱われる個人情報は,患者の氏名,年齢,住所,連絡先といった基本的属性情報のみならず,診断書,手術記録,検査結果,投薬履歴といった医療上の詳細な情報まで含まれます。これらは個人情報保護法上,「要配慮個人情報」と位置づけられ,漏えいした場合は患者のプライバシーを深刻に侵害し,さらには医療機関の信用を大きく揺るがす可能性を有しています。また,2022年4月の法改正以降は,要配慮個人情報を取り扱う際の同意取得や安全管理措置がより明確に求められるようになり,法的なハードルは一段と高まっています。
今回は,要配慮個人情報を扱う医療機関が陥りうる法的リスクと,その回避・軽減のための具体的対策についてお話しします。