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リスク管理としての婚前契約[〈知っておきたい〉医療機関の法的リスクヘッジ(23)]

No.5267 (2025年04月05日発行) P.50

川﨑 翔 (よつば総合法律事務所東京事務所所長/弁護士)

登録日: 2025-04-06

最終更新日: 2025-04-02

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key word:夫婦財産契約,財産分与,登記

医師として長年かけて培った技術や医院・医療法人の経営基盤は,大切な資産です。一方で,結婚を前に「もし離婚したら自分の財産がどうなるか」「開業資金や医院の運転資金も含めて財産分与の対象となってしまうのではないか」という不安をお持ちの先生も少なくないと思います。実際,結婚後にクリニックを開設した場合,クリニックの財産が離婚時の財産分与の対象となることが多いです。

こうしたリスクを緩和する手段として考えられるのが,「夫婦財産契約」(いわゆる「婚前契約」)です。これにより「特定の財産を離婚時の財産分与の対象としない」という対処が可能になります。最近は,ベンチャー企業の若い経営者からの婚前契約に関する相談も増えています。ベンチャー企業が上場して,時価総額が数十億円になった後で,離婚となった場合,持ち株の半分に相当する莫大な財産を分与するリスクが生じうるためです(2019年にAmazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏は,離婚の際に財産分与として約350億ドル相当の株式を元妻に譲渡しています)。

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