中央社会保険医療協議会総会は18日、国家戦略特区における遠隔服薬指導の診療報酬上の対応について議論し、暫定的に「薬剤服用歴管理指導料」を算定可能とすることを決めた。
特区における遠隔服薬指導は、2016年に施行された「国家戦略特区法の一部を改正する法律」に基づき実施されるもの。 医薬品医療機器等法では、人体への作用が著しい処方薬の服用は重篤な副作用が生じるおそれがあるため、薬剤師による対面での服薬指導を義務づけている。これに対し、国家戦略特区法では特例として、離島、へき地に居住する者に遠隔診療が行われ、対面での服薬指導ができない場合に限り、テレビ電話による服薬指導(遠隔服薬指導)を可能とした。今年6月には愛知県、兵庫県養父市、福岡市の3地域が遠隔服薬指導の特区として認定されている。
これを受けて同日の中医協総会では、特区において遠隔服薬指導が行われた場合の診療報酬上の取扱いを検討。厚生労働省は、「特区での遠隔服薬指導は、対面診療の原則の下で、継続して診療を受けている患者が対象になる」と説明した上で、「対面で薬剤服用歴の聴取や服薬指導を行った薬局が引き続き遠隔服薬指導を行い、薬剤の服用に関する基本的な説明や服薬状況の聴取、その記録・管理などの算定要件を満たす場合は、特区の特殊性に鑑み、暫定的に薬剤服用歴管理指導料が算定できることとしてはどうか」と提案した。
ただ、遠隔服薬指導では、患者の手元に調剤された薬剤がない状態で薬剤の説明を行うことになるため、算定要件を追加。具体的には、患者の手元に薬剤が届いた後にも、疑問点の聴取などの必要な確認を行うことや、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を参考に情報セキュリティ対策を講じること、お薬手帳の活用を要件とした。
これに対し診療側の松本吉郎委員、今村聡委員(いずれも日本医師会)は、オンライン診療は対面診療の補完であるとの原則を強調した上で「特区に限った暫定的な対応であることを前提に了承する」(松本委員)などと述べ、厚労省案に賛同。支払側も了承した。