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中咽頭癌に対する経口的手術【嚥下に関する筋肉や咽喉などの知覚を保存でき,術後の嚥下機能や構音機能は良好】

No.4918 (2018年07月28日発行) P.56

広瀬敬信 (山口大学耳鼻咽喉科講師)

山下裕司 (山口大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2018-07-29

最終更新日: 2018-07-24

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早期胃癌や食道癌に対しては,内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)が行われている。耳鼻咽喉科領域では早期下咽頭癌に対しては彎曲型喉頭鏡と内視鏡を用いたELPSなどの手術が行われており,低侵襲で良好な成績を収めている。

中咽頭癌に対しては,従来,根治手術として下顎正中離断法などの侵襲の強い再建手術などが選択されてきたが,近年,低侵襲な手術方法として経口的な腫瘍切除術,transoral videolaryngoscopic surgery(TOVS)などの手術が行われている。これは,拡張式喉頭鏡により喉頭,舌根を含む中咽頭のワーキング・スペースを確保し,先端彎曲型硬性内視鏡などにより鮮明な近接画像,NBIシステムにより腫瘍進展範囲に有用な広角の,広い視野を得ることができる。これら器具に腹腔鏡用鉗子,メス,止血機器を併用しながら手術を行う。適応としては,中咽頭癌ではTis,T1,T2,一部のT3がTOVSの対象となりうる1)

局所制御率,生存率は良好で,さらに嚥下に関する筋肉や咽喉などの知覚を保存でき,放射線治療を回避できることから,術後の嚥下機能や構音機能は良好であると報告されている2)。中咽頭癌に対して,根治性・機能温存を兼ね備えた新しい治療のオプションとなりつつある。

【文献】

1) 山下 拓, 他:頭頸部外. 2010;19(3):153-60.

2) 大上研二, 他:頭頸部癌. 2015;41(3):319-24.

【解説】

広瀬敬信*1,山下裕司*2  山口大学耳鼻咽喉科 *1講師 *2教授

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