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頭痛の病態生理と治療 [内科懇話会]

No.4796 (2016年03月26日発行) P.34

司会: 黒岩義之 (財務省診療所長/横浜市立大学名誉教授)

演者: 荒木信夫 (埼玉医科大学神経内科教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 【司会】 黒岩義之(財務省診療所長/横浜市立大学名誉教授)

    【演者】 荒木信夫(埼玉医科大学神経内科教授)

    頭痛は一次性(4分類),二次性(8分類)および,有痛性脳神経ニューロパチー,他の顔面痛およびその他の頭痛(2分類)に分類されており,現在は2013年に発表された国際頭痛分類第3版(ICHD-3)beta版が用いられている

    片頭痛の前兆である閃輝暗点を呈するのは10~20%で,80%には前兆はみられない

    片頭痛急性期の治療にはトリプタン系薬剤,アセトアミノフェン,NSAIDsなどが,予防薬としてはロメリジン,バルプロ酸,プロプラノロール,アミトリプチリンなどが処方される

    頭痛の背景と分類

    わが国において全人口のうちの約8%に片頭痛が,約20%に緊張型頭痛があり,片頭痛患者だけでも800万人はいると言われています。片頭痛だけをみると,全人口の女性で12.9%,男性で3.6%と女性に多く,また,女性の30~40歳代,男性の20~30歳代に多くみられる疾患です。

    頭痛の分類は1988年に初めて国際頭痛分類ができ,現在は2013年に発表された第3版(ICHD-3)beta版が用いられています(表1)。この中で,頭痛を大きく一次性と二次性にわけています。

    一次性は,片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛で,そのうち群発頭痛は三叉神経・自律神経性頭痛という,大きな一括りになっています。

    二次性は,外傷による頭痛です。頭頸部血管障害による頭痛は,くも膜下出血,脳出血,脳梗塞などです。くも膜下出血では100%頭痛を訴えますが,脳出血では20~30%しか頭痛を訴えず,それほど多くないと言われています。非血管性頭蓋内疾患による頭痛は,脳腫瘍や非感染性炎症性頭蓋内疾患などによるものです。物質またはその離脱による頭痛には,遅延型アルコール誘発頭痛(二日酔い頭痛)などが分類されます。ここで問題となるのは,薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)です。頭痛のときに処方される鎮痛薬などを過剰に服用するとかえって頭痛を起こすことがあることから,この項目は重要です。感染症による頭痛には,髄膜炎など頭蓋内感染症による頭痛と全身性感染症(風邪など)による頭痛が分類されます。後者の頭痛は,サイトカインの動きなどが大きな鍵を握っていると言われていますが,はっきりしたメカニズムはまだわかっていないといってもよいかと思います。ホメオスターシス障害による頭痛は,高山病や潜水病で訴えることもありますし,高血圧でも血圧が非常に高くなって頭痛を訴えるというものが分類されます。

    また,眼科や耳鼻咽喉科,口腔外科,歯科などが関係した頭痛,精神疾患による頭痛があります。統合失調症患者でも頭痛を主訴とする人がおり,これらの疾患が分類されます。有痛性脳神経ニューロパチーには,三叉神経痛などが分類されます。

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