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放射線治療の再照射の適応・最新の動向【高精度な放射線治療技術により,根治的再照射の検討も可能となる】

No.4919 (2018年08月04日発行) P.56

礒橋文明 (大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学講座准教授)

呉 隆進 (都島放射線科クリニック院長)

登録日: 2018-08-05

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  • 一度放射線を照射した箇所に再度放射線を照射する再照射は,以前は禁忌とされていたのですが,最近は症例によっては積極的に行われることもあります。放射線治療の再照射についての適応・最新の動向をご教示下さい。都島放射線科クリニック・呉 隆進先生にお願いします。

    【質問者】

    礒橋文明 大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学講座准教授


    【回答】

    一般的にはいまだ緩和的な再照射を試みる程度で精一杯ですが,現在では高精度な放射線治療技術により,根治的再照射の検討も可能となります。再照射の適応を判断する因子として,①腫瘍の種類や体積,②腫瘍の局所浸潤状況,③危険臓器タイプや位置関係,④初回線量と再照射線量との関係,⑤初回照射から再照射までの期間,⑥初回照射時の障害の程度,⑦他病変の有無と全身状態,などが挙げられます。

    (1)腫瘍の種類や体積

    放射線感受性が低い大腸癌や膵臓癌,高率に低酸素領域を持つ大きな腫瘍などは,再々発をきたさないように高線量の投与が必要となります。

    (2)腫瘍の局所浸潤状況

    重篤な障害を起こす最大の危険因子です。再発腫瘍が動脈,気管,消化管に浸潤している場合は,壁破綻のリスクが非常に高くなります(言い換えると,浸潤がなければ壁破綻を起こすことはありません)。

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