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つらい時こそ、人は物語を求める[プラタナス]

No.4920 (2018年08月11日発行) P.3

北 啓一朗 (富山大学附属病院総合診療部診療教授)

登録日: 2018-08-11

最終更新日: 2018-08-07

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  • Yさん(66歳男性)は2カ月前から倦怠感、食欲不振を自覚していた。既に複数の病院をまわり、腹部超音波、上部消化管内視鏡、血液・尿・便潜血、頭部MRIなど様々な検査を受けたが異常なく、かかりつけ医からうつ病を疑われ当院精神科を受診された。ところが精神科ではうつ病らしくないといわれ(この判断が素晴らしいのだが)、再度、身体疾患の精査を勧められて当科(総合診療部)受診となった。

    Yさんは淡々と体調の悪さを訴えられた。最近は口渇、イライラ、不眠などもあり、テレビや新聞を見ても面白くないとのことだった。体重は2カ月で6kg落ちていた。

    何を検査したらよいのか考えあぐね、とりあえずこれまでの検査歴を再確認した。するとなぜか胸部X線が抜けていることがわかった。そこで念のために胸部X線を撮ったところ、両肺野(左優位)にびまん性の網状〜線状影と散在する腫瘤影がみられた。転移性肺癌と思われた。胸部CTと腫瘍マーカーを追加した。CEAは148ng/mLと高値であった。

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