人事院は10日、2018年の国家公務員の月例給(基本給)を0.16%引き上げ、特別給(ボーナス)も0.05月分引き上げて4.45月分とするよう、国会と内閣に勧告した。民間の給与・ボーナス支給状況との較差を踏まえた改定で、引上げ勧告は5年連続となる。
公的な医療施設、矯正施設、検疫所などに勤務する公務員医師・歯科医師に適用される「医療職俸給表(一)」については、大卒の初任給を24万7900円(前年比1500円増)、博士課程修了の初任給を33万2400円(同1300円増)とする。離島・僻地などに在勤する医師に支給する初任給調整手当も、処遇確保の観点から改定される。
公務員給与実態調査によれば、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員は559人。平均年齢は51.6歳、平均経験年数は24.8年となっている。
人事院は、国家公務員の定年を段階的に65歳へ引き上げる必要があるとの意見も申し出た。定年延長に際しては、60歳超の職員の年間給与を60歳未満の7割水準に設定し、短時間勤務制度を導入すべきとした。
従業員50人以上の事業所を対象とした今年4月の民間給与実態調査の結果も公表された。医師の「きまって支給する給与額」(時間外手当などを含む)をみると、病院長161万6123円、副院長153万502円、医科長122万3221円、部下のない医師100万1648円だった(表1)。調査対象が毎年異なるため単純比較はできないが、病院長、副院長、医科長、部下のない医師は昨年より軒並み減少していた。
準新卒医師(2015年3月に大学卒業後、15年度中に免許を取得し、臨床研修を修了して18年4月までに採用された者)の時間外手当などを除いた初任給は平均40万9322円で、昨年より約7000円減少(表2)。従業員500人以上の事業所における医師の初任給は41万2338円で、昨年より3万4000円以上増加していた。