今回は咳(咳嗽),血痰,喀血。これらのうち,咳はコモンな症状である。原因は呼吸器系の疾患のことが多いが,全身性疾患の一症状のこともあるので,全身を診ることが重要になる。では,今回の症例をみてみよう。
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咳は気道と肺の清浄化および防御に必須である。有効な咳反射がない場合のリスクとしては,気道分泌物や誤嚥吸引物の貯留,感染,無気肺を生じる危険性などが挙げられる。
このように咳反射は重要であるが,有効な咳ができなくなる要因を表1に示す。しかし逆に,過剰な咳には様々な悪影響がある(表2)。
自然な咳反射の起こる機序を図1に示す。咳反射に関連する感覚神経末端は,食道や外耳道にも分布しているので,食道炎や外耳炎でも咳が出ることがある。
慢性咳嗽の患者ではカプサイシン受容体の発現が亢進しており,咳の過敏性が高まっている。咳の期間を確認することは原因の診断に重要である(表3)。
慢性咳で身体所見とX線画像が正常のときに最も多くみられる原因を表4に示す。これらの原因を同時に複数持つケースも多い。
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