油圧機器メーカーKYBと子会社による免震・制振装置の性能検査データの改竄問題で、KYBは26日、国土交通相の認定基準や顧客契約の基準から外れた製品が設置された可能性のある施設を、新たに18件開示した。このうち、病院等の医療施設は6件含まれている。
26日に名称が公表されたのは、建物の地下で地震の揺れを抑える免震用ダンパーを設置した物件のうち、関係者の了解が得られたもの。医療施設は①川崎幸病院(神奈川)、②石川県立中央病院、③国立長寿医療研究センター(愛知)、④南部町国民健康保険西伯病院(鳥取)、⑤市立八幡浜総合病院本館(愛媛)、⑥愛媛県立中央病院。社内調査の結果は、①は顧客基準に不適合、②③⑤は改竄の有無不明、④⑥は大臣認定基準に不適合となっている。
KYBによると、基準不適合またはその疑いがある免震用オイルダンパーは計903の物件に出荷された。そのうち医療・福祉施設は158件。同社は19日に出荷先の70件の名称を開示したが、医療施設は含まれていなかった。宮城県立こども病院、大崎市民病院(宮城)など、同社の発表前に不適合品の使用を公表した病院も出ている。また、熊本地震で被災し、建替中の熊本市民病院でも同社製品が取り付けられていたことが判明している。
不適合品が設置された建物の安全性について、国交省は、基準値からの乖離が特に大きい製品が設置された7件を検証した結果、「震度6強~7程度の地震に対して倒壊の恐れはないとの見解が第三者機関から得られている」としている。