厚生労働省は19日の「医師の働き方改革に関する検討会」に、これまでの議論を整理した「骨子案たたき台」を提示した。委員からはタスク・シフティング(業務移管)の推進に向けて、ナース・プラクティショナー(NP)創設の必要性を盛り込むべきとする意見と慎重な意見が示された。
改正労働基準法により、2024年4月から時間外労働の上限規制が医師に適用される。同検討会は年度末までに具体的な上限時間数や労働時間の規制のあり方について報告書を取りまとめる予定。
たたき台ではタスク・シフティングに関して「現行資格制度を前提とせずに今後の検討を行っていくべきとの指摘があった一方で、医師の働き方改革のために資格制度を検討することへの疑問も示された」と記載された。
これに対し、17日の前回会議でNP創設の必要性を報告書に盛り込むよう求めていた渋谷健司副座長(東大国際保健政策学)が反発。「今できないから書かないのではなく、寝ないで仕事をしている若い医師に希望を与える方向性を示さないと、本当の働き方改革にはならない」と述べ、NP創設の必要性を明記するよう要請し、複数の委員が賛同した。
一方、今村聡委員(日本医師会)は「この検討会は医師の労働時間を決めることが最大のミッションであり、現行の資格を持っている人の中でまずはやるべきことを議論していただきたい。そこ(NP創設の必要性)まで議論を踏み込むと、今やるべきことが中々まとまらないのではないか」と指摘し、NPの記載に慎重な姿勢を示した。
このほか、前回会議で厚労省が示した、時間外労働規制が導入された後の働き方のイメージ(通常の日勤後に確保すべき勤務間インターバルは「9時間」、当直明けは2倍の「18時間」、連続勤務時間制限は「28時間」)について馬場武彦委員(日本医療法人協会)が発言。「前回会議では厳しいと述べたが、病院団体で議論した結果、医師の健康確保と勤務環境改善のために受け入れるべき、という結論になった」と紹介した上で、「超過勤務時間の経過措置は当面、柔軟性を持たせて、地域医療に混乱が起きないように配慮してほしい」と要請した。