厚生労働省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」は20日、2018年中に相次いで発生した自然災害で長期の停電や断水が起こったことを踏まえ、災害時に重要な機能を担う医療機関に求める新要件を了承した。災害拠点病院の指定要件として、飲料水の備蓄以外に、定量的な水の確保を追加。現状で非常用の電源や水の規定がない救命救急医療センターと周産期母子医療センターにも、自家発電設備と受水槽の保有を求める。
現在、災害拠点病院には自家発電設備の保有と3日間程度の燃料の備蓄が定められているが、水については飲料水(3日分程度)を除き具体的な数値の規定はない。新要件では、受水槽の容量について「診療機能を3日程度維持できる量」などと定められる見通しだ。
9月の北海道胆振東部地震で道内全域が停電し、医療機関における燃料や水の備蓄が課題となったことを受け、厚労省は災害拠点病院を中心とする822病院を対象に、重要インフラの状況を緊急的に点検した。その結果、自家発電設備の燃料タンクの容量で診療機能を維持できる期間が「3日未満」としたのは144病院(17.5%)に上り、災害拠点病院である726病院の中でも114病院(15.7%)が「3日未満」だった。受水槽がある810病院のうち、その容量が3日分未満だったのは547病院で、うち204病院は地下水も利用していなかった。
厚労省は緊急対策として、民間の災害拠点病院等を対象に、診療機能を3日程度維持するために必要な発電・給水設備の整備にかかる経費の一部を補助する。公立病院については総務省が地方財政措置を講じる。