皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)の治療は、新薬が次々と登場し大きく進歩しつつある。そのメラノーマの治療と生存率向上に長年貢献してきたのが山本さんだ。
「メラノーマは手術で腫瘍を全て切除することが基本ですが、かつては術後再発が多く、治らないがんの1つでした。1人でも多くの患者さんを助けるためにはどうしたらいいのか、考えた末に着手したのがインターフェロンβ(IFN-β)を使った術後補助療法でした」
1985年には、18歳の女性の左手親指の爪にできたメラノーマを切除後、IFN-β治療を行い、当時は切断が原則だった指の温存に成功した。90年代前半には、術後の再発を予防するために、当時標準的だった3剤併用の抗がん剤治療にIFN-βを追加する術後補助療法の多施設共同試験を実施。5年生存率の有意な改善が確認され、IFN-βによる再発予防治療が全国に広がるきっかけとなった。
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