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(1)うつ病と認知症の共通病態としての神経炎症[特集:精神疾患と神経炎症の関係]

No.4942 (2019年01月12日発行) P.28

溝口義人 (佐賀大学医学部精神医学講座准教授)

門司 晃 (佐賀大学医学部精神医学講座教授)

登録日: 2019-01-14

最終更新日: 2019-01-09

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Point

うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)発症のリスクファクターとされており,抑うつ,不安症状はアミロイドβ負荷の増大を反映し,AD発症の前駆期を早期診断する臨床的マーカーとなりうる

うつ病およびADの病態に,神経炎症,特にミクログリアの活性化が関与すると示唆されるが,加齢によるミクログリアへの影響にも着目することが重要である

うつ病とADの共通病態として脳由来神経栄養因子(BDNF)機能の低下(BDNF仮説)も注目されている

1. うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)発症のリスクファクターである

アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD)の患者数は2030年には世界で7000万人を超え,そのglobal costは2兆ドルにおよび,がんや糖尿病をはるかに上回ると推計されている1)

ADでは認知機能が低下しはじめる少なくとも15年前に老人斑(amyloid-β plaques)が出現するとされ,老人斑の主成分であるアミロイドβ(amyloid-β:Aβ)の凝集を早期に発見し,かつAβの凝集を防ぐことが根本的治療法(disease-modifying therapy)と考えられている1)

うつ病はAD発症のリスクファクターであると以前から報告されている2)

しかし,近年のamyloid positron emission tomography(PET) imagingを用いた研究では,地域在住の健常高齢者において,大脳皮質にAβが沈着している人ほど孤独感や寂しさを強く感じており3),その後の経過においても抑うつ症状がより増悪すると報告された4)

これらの報告は抑うつ,不安症状が脳へのAβ負荷の増大を反映しており,AD発症の前駆期を早期診断する臨床的マーカーとなりうる可能性を示唆している。

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