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患者中心の医療の方法〈総論〉─「疾患の治療」だけでなく「病む人へのケア」を[プライマリ・ケアの理論と実践(2)]

No.4944 (2019年01月26日発行) P.10

加藤光樹 (まどかファミリークリニック院長)

登録日: 2019-01-25

最終更新日: 2019-01-23

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SUMMARY
慢性疾患を抱える患者のケアは,疾患の治療のみならず,病んだ人へのケアという視点も重要である。4つのコンポーネントを意識しながら診療を行う患者中心の医療の方法はその助けとなる。

KEYWORD
相互意思決定
医師が患者に必要な情報を提供しつつ,その意向を十分に引き出し,専門家として勧められる療養を提案し,合意可能な意思決定を行うこと。

加藤光樹(まどかファミリークリニック院長)

PROFILE
北海道家庭医療学センターで家庭医療を学び,現在福岡県小郡市の家庭医療クリニックの院長。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医,日本在宅医学会認定専門医,医療経営・管理学修士(専門職)(九州大学)

POLICY・座右の銘
やることはやる・やるときはやる・やれるだけやる

1 医療のあり方の変化

「患者の中には疾患があり,医師の役割はそれを治療することである」―。医療は長くこうした見方の中で提供されてきた。しかし,医療の発達や疾病構造の変化により,人々が感染症などの急性疾患で命を落とすことが少なくなり,現在は高齢者は何らかの慢性疾患を有しているのが当たり前となっている。慢性期の医療では,患者は疾病とともに過ごしており,その疾病は完治するものではない。その結果,患者が医師に求めることが「疾患の治療」だけではなく,「病いをもつ人へのケア」である場合が増えてきている。

こうした変化に私たちはどのように対応すればよいのだろうか。その1つの答えが,「患者中心の医療の方法(Patient-Centered Clinical Method:以下PCCM)」(図1)1)である。

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