胆囊摘出術の基本手技として,漿膜下層内層(SS-inner)を露出する層での剝離操作を習得する
critical view of safety(CVS)は,SS-innerを露出する層で剝離すると安全に露出できる(真のsafetyが得られる)
7~15%の頻度で存在する副肝管(南回りの後区域枝)の多くは,術前のcholangiographyで検出することによって損傷を回避することができる
高難度症例とは,炎症に伴う胆囊壁の線維化・瘢痕化によってSS-innerを露出する層での剝離操作が困難な症例である
SS-innerを露出する層での剝離操作が可能かどうかの見きわめが重要であり,不可能もしくは困難な場合はbailout procedureに移行する
critical view of safety(CVS)は,腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy:LC)の際にCalot三角付近での胆道(総胆管,総肝管,右肝管,副肝管など)や血管(右肝動脈,門脈など)の損傷を予防するための安全確認作業のひとつである(図1)1)。わが国ではCVSが広く認知されているが2),胆道や血管の損傷はいまだ一定の頻度で発生しており,その多くはCVSに至る前の段階で発生している3)。CVSはLCの安全性を担保するには不十分な概念である4)。