妊婦加算の算定凍結を端緒に設置された厚生労働省の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(座長:五十嵐隆 国立成育医療研究センター理事長)が15日、初会合を開いた。同検討会には産婦人科医や自治体の保健福祉部門の担当者らが参画。妊産婦の診療について現状とニーズに関する実態を調査した上で、医療的・社会的支援や費用負担のあり方について6月頃までに結論を出す。取りまとめ結果は2020年度診療報酬改定の論議に反映するが、妊産婦の診療に対する点数上の評価は中央社会保険医療協議会(中医協)で検討する。
実態調査は3月中の1週間程度の期間に、分娩を取り扱う全国約500施設の病院・診療所を対象に実施。医療機関から妊婦健診や産後健診で受診した妊産婦にオンラインによる回答を依頼し、妊娠中・産後の医療で特に配慮が必要と考える点など支援のニーズを把握する。
初会合では、妊産婦の医療と支援の現状を巡って自由討議が行われた。医療経済を専門とする野口晴子構成員(早稲田大学術院教授)は、妊婦加算が国民の批判を受けて凍結された経緯を踏まえ「提供するサービスの質を上げるためのコストを誰が負担するのかという議論が重要だ」と述べた。福本怜構成員(下関市保健部長)は、経済的困窮や家庭内暴力などの問題を複合的に抱えている妊産婦が増えているとし、医学的リスク社会的リスクに対応する支援を充実する必要があると強調した。