日本医師会の今村聡副会長は3日の定例会見で、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」による報告書取りまとめを受け、医師の時間外労働をなるべく早く「年960時間」以下の水準に収めることが「医療界共通の最終目標となった」との見解を示した。36協定の締結など、医療機関における労働時間管理の適正化に向けては「労使が対等な立場で協議する場が重要であると、管理者には認識していただきたい」と述べた。
報告書では、2024年度から適用する医師の罰則付き時間外労働規制として、一般勤務医の上限水準を「年960時間」と設定。地域医療維持のために設ける暫定特例と研修医などの上限水準は「年1860時間」とするが、「勤務間インターバル」「連続勤務時間制限」「代償休息の付与」の実施を義務づけ、労働法制と医事法制の両面から実効性を担保することとした。
会見で今村氏は、追加的健康確保措置の一部義務化について「従来にない措置を取り入れることになったが、労働時間管理だけに頼り、結果的に休息が確保できないという事態を回避する手段として極めて有効だ」と評価。「年1860時間」という数値については「高い上限ではあるが、罰則によって地域医療が崩壊しない設計になっている」とした上で、「研修と医療の質を低下させないよう、各医療機関が工夫を凝らし、労働時間を短くしていくことが求められている」と述べた。
また、今後の課題の1つとしては、管理者のマネジメント能力の向上を挙げ、病院団体などと連携しながら研修の機会の充実を図る方針を示した。