【質問者】
清水泰博 愛知県がんセンター中央病院副院長/消化器外科部長
【learning curveに基づいた教育システムの構築が困難であることが最大の課題】
腹腔鏡下手術のメリットは,開腹手術に比べて痛みや出血が少なく,術後の回復が早いことです。一方,内視鏡下手術は,鉗子の操作自由度の制限,術者やカメラの手ぶれなど不利な面も多く,開腹手術に比べると技術的に難易度が高く熟練を要します。2016年に腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が保険適用となりました。ただし,①膵臓手術を年間50例以上施行していること,②膵頭十二指腸切除術を年間20例以上施行していること,③腹腔鏡下膵切除術を20例以上実施した経験を有する医師が常勤すること,という施設基準があり,わが国の高度技能専門医認定施設の中でも限定された施設のみで行っているのが現状です。
内視鏡手術支援ロボットは,高解像度3次元画像による拡大視効果,自由度の高い鉗子操作,手ぶれ防止機能,術者の動きに連動したモーションスケーリング機能など,従来の内視鏡手術の欠点を補う複数の優れた機能を有します。これらは,膵頭十二指腸切除術における膵管空腸吻合など,繊細な手術操作にきわめて有用です。ロボット支援下内視鏡手術は,2018年の診療報酬改定で12種類が保険適用手術として承認されました。
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