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■NEWS 救急医療機関、一部施設は「年1860時間」でも対応困難―日医緊急調査

No.4956 (2019年04月20日発行) P.67

登録日: 2019-04-11

最終更新日: 2019-04-11

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日本医師会は10日、今年3月に全国の救急医療機関を対象に実施した医師の働き方改革に関する緊急調査の結果を公表した。2024年度から罰則付き時間外労働上限規制が勤務医にも導入され、地域医療維持の観点から設けられる特例の適用医療機関では上限が年1860時間まで許容されるが、一部の施設は年1860時間でも達成困難と考えている現状が明らかになった。約7割の施設では、医師から他職種へのタスクシフティングを即座に実施できない状態にあることも分かった。

同調査では、2次・3次救急医療機関など計4243施設に調査票を送付。1739施設(41.0%)が回答した。

特例の適用対象となりうる821施設に、救急部門の医師の時間外労働を今後5年間で「他院での勤務を含め年1860時間以下」にできるか尋ねたところ、「概ね可能」としたのは408施設(49.7%)だった。150施設(18.3%)は「医師の半数程度は可能」など対応困難との回答を寄せ、うち約半数の施設は「医師の増員」が必要だとした。

労働時間規制や勤務間インターバルの確保の導入に伴い、大学病院が地域の医療機関へ派遣している医師を引き揚げる可能性が指摘されている。緊急調査では、派遣医師の引揚げが起こった場合の影響について、5割強の施設が自院の救急医療体制に支障を来すと回答した。

■石川常任理事「民間中小病院への支援を」

10日の会見で石川広己常任理事は「医師の派遣や公的な財政支援など、様々な手段を講じる必要がある」と述べ、特に民間の中小病院への支援の必要性を強調。タスクシフティングに関しては「4月から医師以外の職種に時間外労働上限規制が適用され、その対応に汲々としている施設が相当数あり、移管する業務の検討にまで着手できていないのではないか」との見立てを述べた。

調査結果について説明する石川常任理事

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