当院は福岡県飯塚市にある約1100床の総合病院です。総合診療科入院患者の多くは救急外来経由の症例で、外来では開業医からの紹介や院内からの不明熱や原因のはっきりしない症状についての相談が大半です。感染性心内膜炎や骨髄炎、腹腔内膿瘍、カテーテル関連血流感染などの重症感染症から、肺外結核、HIV感染症までいろいろな疾患を担当しています。
発熱の精査依頼は特に多く、教訓的な症例を2つ紹介します。
1つ目は、発熱しては他院で抗菌薬を5日間処方され解熱することを5回繰り返していた50歳代のトラックの運転手をしている男性の例です。仕事柄、他県の医院を受診しては抗菌薬を処方されており、6回目の発熱で近医を受診し、セフトリアキソン1gを静注され当院へ紹介となりました。
詳細な診察を行うと心雑音を聴取したため、感染性心内膜炎を強く疑いましたが、心エコーで僧帽弁の肥厚は認められるものの、明らかな疣贅とは言えず、血液培養2セットを採取し入院となりました。入院後は解熱し、血液培養を2日おきに繰り返し行いましたが、いずれも陰性でした。
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