1本の電話から始まる税務調査。調査が決まったときには、もう手遅れかもしれません。なぜなら、税務調査は過去の申告に対して行われるもの、既に経費として落としてしまった領収書の「言い訳」にも限界があります。税務調査は、開業以来10年以上も入っていなかったのに、突然入るということもあります。開業医に対する税務調査はどのような流れで行われ、どのようなことが問題になるのか、あらかじめ分かっていれば落ち着いて対応できます。税務調査の手続きから指摘されるポイントまで、分かりやすく解説します。
税務調査には、その目的に応じて大きく分けて2種類あります。1つ目が任意調査である「税務調査」、2つ目が強制調査である「査察調査」です。
一般的には、開業医に対しては任意調査である税務調査が行われます。任意とはいえ、税務調査を断ったり、都合の悪い資料を見せなかったり、正当な理由がなく調査に応じなければ、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがあります。
一方、強制調査である査察調査は、いわゆる「マルサ」のことです。査察調査は、日本全国で年間200件ほどしか行われませんので、悪質で大規模な脱税がなければ、ほとんどの開業医にはあまり関係のない調査と言えます。
税務調査は開業して何年後に入るかなど、いつ入るかが決まっている訳ではありませんが、一般的には過去3年分をまとめて調査されますので、開業して4年目以降になれば、いつでも税務調査が入る可能性があると言えます。
税務調査が入ったとき、「なぜ当院が?」という疑問が生じます。世の中には数多くの企業があるのに、当院だけが狙い撃ちにされたような気がします。税務調査の対象先として選定される基準は公表されていませんが、どのような場合に入りやすいのか考えてみました。