患者ケアを行うべく新病院が開院して6年になります。私の担当する脊椎ケアセンターの理念は、すべての脊椎脊髄疾患の患者に、安全で、経済的で、包括的な患者中心のケアを提供し、医療の最適化を図ることです。集学的アプローチを行うために脊椎外科医のみではなく、神経内科、リハビリテーション科、脳外科の医師、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士がともに患者中心の診療を行っています。
高齢者がMRI検査を受けると、健常者でも神経圧迫所見がみられることが多く、脊椎に起因する症状であると診断するのは決して容易ではありません。画像所見で異常と判断され、脊椎疾患と思われた症状が、当センターで他の疾患によるものと判明したことが多々あります。他院で「気のせい」と言われた、両手のしびれで来院された患者に膵臓腫瘍がみつかったり、馬尾腫瘍や腰部脊柱管狭窄症で手術適応と紹介された患者が正常圧水頭症や脳梗塞であったり、頸椎疾患の歩行障害と診断された患者が脳梗塞やパーキンソン病であったり、腰椎椎間板ヘルニアの診断で経皮的レーザー椎間板減圧術をうけた患者に胸髄腫瘍や仙椎腫瘍がみつかったりと、枚挙に遑がありません。
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