厚生労働省は5日、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(座長:遠藤久夫 国立社会保障・人口問題研究所長)の初会合を開いた。医師に対する時間外労働上限規制(2024年4月適用)で「特例」とされた上限水準について、運用規定など制度の詳細を詰める。同省は年内に一定の結論を得た上で、来年の通常国会に必要な法改正案を提出したい考え。また、規制の適用に向け、今年9月2~8日の1週間に、全国約1万9000施設・約14万2000人の医師を対象に勤務実態調査を実施する。
今年3月に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会」報告書では、一般勤務医の時間外労働について、36協定でも超えられない上限を原則として年960時間(A水準)にすることが確認された。ただし、医師不足地域の医療事情や研修医等の技能向上を考慮し、「地域医療確保暫定特例水準」(年1860時間=B水準、35年度末をメドに終了)と「集中的技能向上水準」(年1860時間=C水準)という例外を設けることとなった。
特例の対象医療機関は、医療機関の労働時間短縮への取り組み状況などをチェックする「評価機能」の第三者評価を踏まえ、都道府県が特定することになっている。「推進に関する検討会」では、特例の対象医療機関に関して医事法制・医療政策上で措置を要する①特定の方法、②追加的健康確保措置の義務化と履行確保の枠組み、③評価機能のあり方―などが主な論点となる。
初会合では、評価機能のあり方を巡り、都道府県からの中立性担保を求める意見が出た一方で、医療現場の事情を熟知した組織になるのか疑問を呈する声が上がった。
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