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口腔がんの現状と課題とは?(柴原孝彦 東京歯科大学口腔がんセンター長)【この人に聞きたい】

No.4968 (2019年07月13日発行) P.8

柴原孝彦 (東京歯科大学口腔がんセンター長)

登録日: 2019-07-11

最終更新日: 2019-07-10

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日本の口腔がん死亡率は米国の2.5倍以上
口腔がん検診を普及させて早期発見を増やし
救えるはずの命を救いたい

しばはら たかひこ:1979年東京歯科大卒。84年同大院修了。国立東京第二病院厚生技官、東京歯科大学講師、ドイツ・ハノーバー医科大客員講師などを経て、2015年より東京歯科大口腔顎顔面外科講座主任教授。一般社団法人口腔がん撲滅委員会代表理事を務める。近著に電子コンテンツ『口腔の異常のみかた〜がんを見逃さないコツ』(小社)

口腔がんになる人が増えている。日本の口腔がんの現状と課題について、口腔がん撲滅委員会代表理事で、東京歯科大学口腔がんセンター長の柴原孝彦氏に聞いた。

罹患数は40年間で4倍増

─日本の口腔がんの現状について教えてください。

全国がん登録速報値によると、2016年に口腔・咽頭がんと診断された男性は1万5205人、女性が6396人で、この40年で4倍以上に増えています。なぜか世界保健機関(WHO)の統計でも口腔がんと咽頭がんは一緒に算出されているのですが、その50~60%が口腔がんとみられます。

高齢男性に多い病気ですが、女性や40歳未満の若年者にも増えてきたのが特徴です。口腔がんは舌、歯肉、口底、頬粘膜、口蓋など、口の中の歯以外のすべての部位に発生する可能性があります。

─口腔がんが増えている理由は分かっているのでしょうか。

若年者に増えている理由は分かりませんが、全体的な増加の最も大きな要因は人口の高齢化です。がんの要因の7割は食生活、生活習慣、ウイルスだと言われますが、口腔がんの場合はこれに慢性的な刺激が加わります。

なお、慢性的な刺激とは物理的、化学的刺激です。物理的な刺激は、悪い歯並び、合わない入れ歯などで舌や口の中の粘膜を傷つけること。化学的な刺激は、添加物、人工甘味料、熱による化学的変化の影響です。

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