口腔がんになる人が増えている。日本の口腔がんの現状と課題について、口腔がん撲滅委員会代表理事で、東京歯科大学口腔がんセンター長の柴原孝彦氏に聞いた。
全国がん登録速報値によると、2016年に口腔・咽頭がんと診断された男性は1万5205人、女性が6396人で、この40年で4倍以上に増えています。なぜか世界保健機関(WHO)の統計でも口腔がんと咽頭がんは一緒に算出されているのですが、その50~60%が口腔がんとみられます。
高齢男性に多い病気ですが、女性や40歳未満の若年者にも増えてきたのが特徴です。口腔がんは舌、歯肉、口底、頬粘膜、口蓋など、口の中の歯以外のすべての部位に発生する可能性があります。
若年者に増えている理由は分かりませんが、全体的な増加の最も大きな要因は人口の高齢化です。がんの要因の7割は食生活、生活習慣、ウイルスだと言われますが、口腔がんの場合はこれに慢性的な刺激が加わります。
なお、慢性的な刺激とは物理的、化学的刺激です。物理的な刺激は、悪い歯並び、合わない入れ歯などで舌や口の中の粘膜を傷つけること。化学的な刺激は、添加物、人工甘味料、熱による化学的変化の影響です。