手のどこにしびれを生じているか⇒手根管症候群では第2・第3指に最強となることが多い。肘部尺骨神経麻痺では,ほとんどが第4・第5指にしびれを訴える
どんなときに症状が出現するのか⇒息苦しい感じがしてから,毎日夜中から明け方にかけてなどの訴えにより疾患が想定される。前者では過呼吸に伴う機能的しびれ,後者では手根管症候群が想起される
しびれあるいは痛みに加えて随伴症状はあるか⇒運動と感覚を司る神経部位は近くに存在することが多い。筋萎縮を伴う場合では,脊髄前角から末梢に原因があることが考えられる
大雑把に,病変が末梢神経レベルか,脊髄・神経根か,脳か,機能性かを考える⇒上述の分布,起こり方,随伴症状をもとに,病変の局在を想起する
病変部位を想起した上で,確認のために神経伝導検査や画像検査を行う⇒予想しなかった病変が画像でとらえられた場合には,出現している病状がその病巣で説明できるかどうかを検証する
まず「しびれ」とは何かを考えてみよう。漢字にすると「痺れ」となり,感覚障害のみならず運動障害を指すこともある。感覚障害でも,感覚が鈍く自分の手ではないような感じ,あるいは本来の感覚とは別の感覚としてとらえられる,ジンジン・ビリビリなどの自発的異常感覚など,様々である。しびれは痛覚と他の感覚が混在した自覚症状と考えられている。
実際の患者では,神経学的な原因以外にも様々な場面でしびれを訴える。たとえば,手を後ろに組むと鎖骨下動脈が圧迫され,両上肢全体にジンジンしたしびれを訴える人がいる。虚血がしびれをもたらすわけであるが,ヒトの脳は身体のどこかの部位を意識するだけでも,その部位のジンジン感(しびれ感)を感じることがある。それが記憶として深く刻みつけられると,慢性症状になる。慢性症状が強くて患者を苦しめるときの対策として,別のこと,たとえば自分の呼吸を鼻毛で感じることに意識を集中する,なども一法である。したがって,患者のしびれの中から,本当に神経学的に意味のある症候を引き出すことが重要となる。