日本専門医機構の寺本民生理事長は22日の記者会見で、2021年度専攻医募集のシーリング(採用数上限)の精緻化を目的に設置を予定している協議会について、8月より開催することを明らかにした。協議会では18基本領域学会や自治体にヒアリングを行い、11月にも議論を取りまとめる方針。
20年度募集のシーリングを巡っては、厚生労働省が算出した都道府県別診療科必要医師数・養成数に基づき決定。自治体や基本領域学会から困惑の声が相次いでいた。
同日の会見で寺本氏は、「(総合診療領域を除く)18領域がそれぞれ持っているデータに基づいて、今のシーリングにどう介入できるか、厚労省とも話をしながら進めていきたい」との意欲を示した。
寺本氏によると、基本領域学会へのヒアリングは、8月から9月にかけて4回開催する。10月上旬には地域の問題について全国知事会、全国市長会、全国町村会へ聞き取りを実施。その上で、厚労省が12月に公表予定の2018年「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」の結果を踏まえ、21年募集のシーリングのあり方を検討するとした。
このほか寺本氏は、総合診療専門医のキャリアパスが不明確だとして問題視。総合診療の専門研修に内科研修が1年間組み込まれていることを活かし、内科専門医とのダブルボードの実現に向け検討しているとした。寺本氏は、「ダブルボードが可能になれば、内科のサブスペに進むことも可能になるという道筋ができてくる」との考えを明示。一方で、家庭医といったサブスペの認定についても議論が必要だとした。
機構理事でサブスペシャルティ領域検討委員会委員長の渡辺毅氏は、そもそも総合診療専門医のサブスペの必要性について機構内で意見が分かれていることを紹介。「総合診療専門医検討委員会でようやく議論がはじまろうとしている」と述べた。