医師の労働時間短縮に向けて重要課題となっている他職種へのタスクシフティング(業務移管)を巡り、厚生労働省は26日、6団体からヒアリングを実施した。ヒアリングは同日を含め3回開催されており、これまでに日本医師会など24の医療関係の職能団体や基本領域学会が意見を陳述してきた。今回で厚労省が予定していた計30団体からの意見聴取が終了した。
26日のヒアリングに出席した四病院団体協議会(全日本病院協会・猪口雄二会長)は、看護師、救急救命士、薬剤師、臨床工学技士への業務移管を主張。看護師に関しては「医師から看護師への包括的指示が成立する具体的な要件が明確でない」として、厚労省に対し、特定行為に示されている医行為とは別に、侵襲性の低い医行為にかかる包括的指示のモデルを業務場所別(病棟、在宅、介護施設等)に示してほしいと要望した。救急救命士については院内業務を可能とする法改正の検討が必要だとした。麻酔科医不足対策では標榜医や経験を積んだ医師による「自科麻酔」を推奨したい意向も示した。
日本看護協会(秋山智弥副会長)は、現行の特定行為研修制度を推進するだけでは増大する医療ニーズに対応しきれないとして、在宅の慢性疾患の管理や医師不在時の病棟などの場面で医療提供の判断を一定程度担う「ナース・プラクティショナー(NP)」制度の構築を訴えた。高齢化率が30%を超えている地域の首長や医師によるNP制度創設への期待の声も紹介し、必要性を訴えた。