2017年3月,成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定された。同計画では本人の意思決定支援と福祉的観点の必要性が謳われている。これに伴い診断書の書式が変更となった。診断書の変更点は2点。判断能力についての意見欄が見直され,意思決定支援の考え方をふまえた表現に変わった。また,判定の根拠を明確化するために,精神上の障害の有無と程度を具体的に記載できるよう変更された。
診断書の作成にかかる流れは図のとおりである。
最高裁判所の集計(2018年分)によると,後見等の開始原因としては,認知症が最も多く全体の6割強を占め,次いで知的障害と統合失調症がそれぞれ1割弱,高次脳機能障害が5%程度などとなっている。
これらをふまえ,本特集第2部では,認知症について石橋幸滋氏に,精神疾患について清水隆史氏に,知的障害について紅谷浩之氏に,高次脳機能障害について大西康史氏に,診断書のサンプルを作成していただき,書き方のポイントをお示しいただいた。これらのサンプルは最高裁判所の手引とはまた違い,より具体的で実地医家ならではの味わいがある。これらを参考に,日々の実践に役立てていただきたい。(鶴岡浩樹)