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千葉大学における臨床法医外来について

No.4981 (2019年10月12日発行) P.57

齋藤直樹 (千葉大学附属法医学教育研究センター・千葉大学大学院医学研究院小児病態学)

登録日: 2019-10-15

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【児童虐待対応,犯罪被害者,高齢者・障害者虐待の解決の一助になることをめざす】

臨床法医学は,「損傷評価における生体に対する診察・鑑定を行うだけでなく,法医解剖結果や検査結果などを臨床領域と共有・検証し,得られた情報や知見を臨床現場および,社会へと還元するもの」である。

千葉大学附属法医学教育研究センターでは,2014年に臨床法医学部門を立ち上げた。警察や検察,児童相談所の依頼を受けて生体鑑定を行っている。当センターでは,損傷の成因の考察を専門とする法医学者による外表評価や,法医画像診断医による画像読影を行い,詳細な意見書を作成する。しかし,法医学教室は医療機関ではないため,画像検査など通常診療で行われる医学的検査がより詳細な損傷・虐待評価のために必要でも,実施は困難である。その場合,他の医療機関への受診を勧めていた。

以前より当センターと千葉大学小児科は被虐待児診察において協力してきた。18年7月,正式に千葉大学医学部附属病院小児科に臨床法医外来を開設した。これにより,病院検査(血液検査による貧血,出血傾向や栄養状態評価,画像検査による頭蓋内病変や陳旧性骨折など),専門他科紹介,医学的フォローアップ,他機関紹介などが可能になった。また,各々の診療ではカバーできない薬毒物評価(意識障害などの鑑別における処方薬物および危険ドラッグなど違法薬物の分析)や歯科ネグレクト等の法歯学的評価も可能となる。

児童虐待対応や今後対応予定としている犯罪被害者,高齢者虐待や障害者虐待の解決の一助になることをめざし,活動していく。

【解説】

齋藤直樹 千葉大学附属法医学教育研究センター・千葉大学大学院医学研究院小児病態学

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