死因究明体制の充実に向け、国と地方公共団体の責務として専門的な人材の確保などを定めた「死因究明等推進基本法」が6日の衆議院本会議で、全会一致で可決、成立した。死因究明に携わる人材の育成や教育・研究拠点の整備を通じて、犯罪・災害・事故・虐待による死亡の再発防止につなげる。2020年4月に施行される。
死因究明体制を巡っては、時津風部屋力士暴行死事件(07年)などを契機として、12年に旧推進法が成立したが、2年間の限時法だったため14年に失効した。今回成立した新推進法は恒久法となっている。推進法は新旧ともに議員立法。
新推進法では、国と地方公共団体に対し、死因究明に関する医師・歯科医師への教育・研修を充実させるものと定めている。死体の科学調査(病理学的検査、薬毒物検査、死亡時画像診断=Aiなど)の活用を進めるための連携協力体制の構築も求めている。死因究明で得た情報の活用については、遺族に対して適時かつ適切な方法で説明することを促す施策を求めた。
厚生労働省には、特別機関として、厚労相を本部長とする「死因究明等推進本部」を設置。政府の「死因究明等基本計画」の案を作成するほか、関連施策の進捗状況の評価・検証を行う。
附則では、法施行後3年をメドに検討する事項として、▶死因究明で得られた情報の一元的な集約・管理体制、▶子供の死亡の原因に関する情報の収集・管理・活用の仕組み―などを挙げている。