厚生科学審議会感染症部会「薬剤耐性(AMR)に関する小委員会」は10月30日、乳幼児の急性気道感染症に関する内容を盛り込んだ「抗微生物薬適正使用の手引き第二版(案)」を大筋で了承した。厚生労働省は、感染症部会や関係学会での検討を経た後、「なるべく早急に公表したい」としている。
手引きは、政府の「薬剤耐性対策アクションプラン」(2016年策定)に基づき、17年に第一版が公表。外来での抗菌薬の不必要使用が特に多いと考えられる「基礎疾患のない成人と学童期以上の小児の急性上気道感染症と急性下痢症」の患者群を想定して作成された。
第二版では、想定される患者群として新たに「基礎疾患のない生後3か月以降~小学校入学前」を対象とした「乳幼児編」を追加した。小児の気道感染症の診療フローや、小児特有の副作用が懸念される薬剤リストを明示。小児の急性気道感染症の多くを占める感冒、咽頭炎、クループ(喉頭炎)、気管支炎、細気管支炎についてはそれぞれ、疫学や診断方法・鑑別疾患、治療方法、自然経過、患者・家族への説明を詳述した。
乳幼児編の手引き作成に関わった宮入烈参考人(国立成育医療研究センター)は、「国のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)で検討したところ、5歳未満の小児に対する抗菌薬の処方回数が圧倒的に多かった」と説明。抗菌薬が使用された疾患の80%は気道感染症だったという。抗菌薬を処方している医師の診療科について、「小児科医は40%未満。60%は小児科以外」と指摘した上で、手引きは、初診時にいわゆる“風邪”を診たときの抗菌薬の処方の是非や、処方する抗菌薬の種類を検討する際の参考となるものだとした。
手引きのボリュームが多いことから厚労省は、「ダイジェスト版の作成を検討している」との考えを明らかにした。