職業性アレルギー性皮膚疾患には,即時型アレルギーである接触蕁麻疹,接触蕁麻疹症候群,蕁麻疹,protein contact dermatitisと,遅延型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎と光アレルギー性接触皮膚炎がある
即時型アレルギーの診断は,即時型アレルギーの臨床症状と,接触した物質によるプリックテスト,患者血清中の抗原特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体を証明する検査によって行う
遅延型アレルギーの診断は,湿疹を主体とした遅延型アレルギーの臨床症状と,接触した物質と,その成分のパッチテストないしは光パッチテストによって行う
職業性アレルギー性皮膚疾患を起こす職業として頻度の高い順に,理容・美容業,医療・介護職,製造業,調理・飲食業が挙げられる
職業別に特徴的な原因製品やアレルゲンがあるが,職種を越えて,天然および合成ゴム手袋が原因に多くみられるため,手を介する職業性アレルギー性皮膚疾患の予防と治療においてラテックスを含まない,加硫促進剤等の化学物質の面で,良質の手袋の使用が重要である
職業と密接に関連した疾患を職業性疾患と呼び,皮膚に限れば職業性皮膚疾患と呼称する1)。その中で,免疫的機序が関与するものを職業性アレルギー性皮膚疾患と呼ぶ。
職業性アレルギー性皮膚疾患には,即時型アレルギーである接触蕁麻疹,接触蕁麻疹症候群,蕁麻疹,protein contact dermatitisと,遅延型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎と光アレルギー性接触皮膚炎がある。
アレルギーの診断に必要な3つの項目は,①臨床症状がある,②アレルゲンへの曝露がある,③皮膚テストが陽性,そして即時型アレルギーでは④血液検査によって患者血清中の抗原特異的免疫グロブリンE(immunoglobulin E:IgE)抗体を証明することが確定に至る。
臨床症状:蕁麻疹(接触した部位,部位を越えて全身に),呼吸器症状,消化器症状,循環器症状,ショック。
原因物質:多くは蛋白質,稀に単純化学物質でも起こる。
皮膚検査:プリックテスト,スクラッチテスト,使用テスト。
血液検査:患者血清中の抗原特異的IgE抗体を証明する検査(CAP-FEIA,ELISA,Immunoblot,好塩基球活性化試験等)によって行う。
臨床症状:湿疹を主体とするが,多形紅斑や血管浮腫に類似するなど,アレルギー接触皮膚炎の皮疹は多彩である2)。
原因物質:多くは単純化学物質。
皮膚検査:接触した物質,その成分のパッチテストないしは光パッチテストによって行う。刺激物質は閉鎖貼付できない。必要な場合は,濃度の設定を行い,オープンテストする。
診断のフローチャートを図1に示す3)。