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自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)[私の治療]

No.4990 (2019年12月14日発行) P.53

岡田 俊 (名古屋大学医学部附属病院精神科・親と子どもの心療科准教授)

登録日: 2019-12-11

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  • 幼少期から言語的・非言語的な対人相互作用に持続的な障害がみられ,限局的反復的な行動,関心,活動(常同的な行動や発語,常同性への固執,儀式的な言動,限局的あるいは特異な関心,感覚過敏や感覚への異常な関心)によって特徴づけられる神経発達症(発達障害)であり,扁桃体など社会認知を司る脳領域をはじめ,広範な脳機能の偏倚が想定されている。かつては自閉症,アスペルガー障害などに分類されていたが,これらの下位分類の妥当性は症状の程度の際にすぎないと考えられるようになり,自閉症あるいは自閉症から連続性のある病態という意味で「スペクトラム」という表現が用いられている。有病率は1.43%であり,以前より上昇する傾向にある。男子では女子より4~5倍多い。およそ3割に知的障害を伴う。自閉スペクトラム症は,その特性のパターンや重篤度,知的障害やそのほかの障害の有無などによって多様であり,当事者の抱える適応上の問題も異なってくる。

    ▶診断のポイント

    詳細な生育歴の聴取から言語や社会性の発達の遅滞,こだわりの強さが認められるか否かを確認し,さらに診察室での言動から自閉スペクトラム症の診断を行う。しばしば,知能検査や発達検査が実施されるが,あくまでも診断の補助であり,下位項目の評価点のばらつきや,実生活と検査結果を照らし合わせることで特性が明確化される。自閉スペクトラム症の行動・発達特性を評価する質問紙としてPARS®-TR(親面接式自閉スペクトラム症評定尺度 テキスト改訂版),構造化された親面接により診断を行うADI-R,構造化されたかかわりの中で自閉スペクトラム症特性を評価するADOS-2なども使用される。また,自閉スペクトラム症の特性を示しうる他の医学的障害(結節性硬化症など)との鑑別,他の精神障害やてんかんとの併存・鑑別についても適切に評価する。

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