【質問者】
金澤丈治 国際医療福祉大学東京ボイスセンター副センター長
【治療コンセプトは声門の過閉鎖の改善】
SDの本態は甲状披裂筋に限局したジストニアです。発声時に不随意に声門が過閉鎖するために声がつまります。有病率は10万人に5~6人と言われています。
治療コンセプトは声門の過閉鎖の改善です。その方法としては,BT声帯内注入術,甲状披裂筋(thyroarytenoid muscle:TA)切除術,甲状軟骨形成術2型(type 2 thyroplasty:TP2)の3種類があります。欧米と異なり,保険診療が基本であるわが国では,BT注入術とTP2は保険などの問題から,限られた施設でしか施行できなかったという事情がありました。BTはSDへの薬剤としての保険適用がありませんでした。TP2はスペーサーとして用いるチタンブリッジの薬事承認がありませんでした。
2018年にBT注入術とTP2が保険収載されました。どちらも施設や施行医の認定制ではありますが,初めて全国的に保険診療で施行可能になり,治療方法として3種類から選択可能になったのです。選択肢が増えたことで,逆に悩ましくなったともいえます。
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