【質問者】緒方寿夫 南平台緒方クリニック院長
【変形の原因を的確に把握し,各症例に応じた手術が必要である】
外傷後の外鼻変形は不十分な徒手整復や受傷後3~4週を過ぎると授動が難しくなり,変形が残存します。明確な定義はありませんが,受傷後半年以上経過した場合は陳旧性鼻骨骨折・鼻骨変形治癒骨折として病態を評価し,治療を行います。
変形のタイプとしては,①鼻が左右に偏位し曲がって見える斜鼻,②鼻全体が低くなった鞍鼻,③外側鼻軟骨が鼻骨下に嵌頓するtelescoped nose,④鼻篩骨合併骨折,などが挙げられます。
変形の原因は,鼻骨,篩骨垂直板,上顎骨前頭突起から構成される骨性外鼻と,大鼻翼軟骨,外側鼻軟骨,鼻中隔軟骨から構成される鼻軟骨(軟骨性外鼻)に分けて評価します。骨性外鼻の変形はCTによる詳細な分析ができますが,鼻軟骨はCTなど画像検査で把握するのが難しく,変形の判断に難渋することがあります1)。
骨性外鼻の変形には,鼻専用のノミやのこぎりを使用して骨切りを行います。以前は鼻骨の内側と外側の骨切りを行うstandard osteotomyによる整復が行われることが多かったのですが,筆者らは最小限の骨切りで変形・偏位した骨を可及的に元の位置に戻すように各症例に応じた骨切り・授動方法を3Dモデルも作成し,綿密に計画しています。
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