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唾石症[私の治療]

No.4991 (2019年12月21日発行) P.45

吉田秀児 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2019-12-23

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  • 唾石症とは,唾液腺腺体内または導管内に結石(唾石)が形成される疾患である。唾液腺疾患で高頻度に認められ,顎下腺由来のものがほとんどである(80~92%)。成因としては,唾液の化学的性状の変化,唾液の停滞,異物,細菌感染,炎症により脱落した上皮,などである。唾石の主体は無機質で,リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどが含まれる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    無症状で,偶然X線画像によって発見される場合もある。特徴的な症状は排泄管の閉鎖によるもので,唾液腺部の腫脹(唾腫),食事摂食時の疼痛(唾仙痛),唾液排泄管開口部からの排膿(唾膿漏)である。

    【検査所見】

    導管内の唾石であれば,双手診により位置の確認ができる。詳細な位置の確認は,X線検査が最も有用である。X線検査では,顎下腺の導管内であれば咬合法により確認でき,パノラマX線画像により導管内か唾液腺体内にあるかを大まかに確認できる。ある程度の大きさがあれば,CTにより詳細な位置を確認できる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    大唾液腺の排泄管開口部付近の小さい唾石であれば,唾液腺のマッサージにより自然排出が期待できるが,一般的には外科的摘出が推奨される。もし唾石による急性化膿性唾液腺炎が認められる場合は消炎術を優先し,消炎後処置を計画する。唾石の摘出法は部位によって変えるべきであるが,口腔内から唾石が触知可能であれば口腔内アプローチによる摘出術を計画し,触知が不可能で深部に存在する場合は,口腔外アプローチによる顎下腺摘出術を計画する。

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