中央社会保険医療協議会総会は4月10日、電話や情報通信機器を用いて初診患者を診療した場合に算定する「電話等を用いた初診料」(214点)の新設を了承した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で医療機関の受診が困難になりつつある現状を踏まえた、時限的・特例的な対応。この日の中医協・総会も、持ち回りでの開催となった。
政府の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(4月7日閣議決定)では、新型コロナウイルス感染症の感染が広がる状況下でも国民が安心して医療機関を受診できるよう、初診から電話や情報通信機器(以下、電話等)で診療が受けられる体制の整備と、診療報酬上の評価を検討する方針を打ち出していた。
今回、新設が決まった「電話等を用いた初診料」の算定対象となるのは、▶当該医療機関の受診歴がなく、医師が電話等を用いた診断が可能と判断した場合、▶現在は受診していないが、過去に当該医療機関の受診歴があり、新たに生じた症状に対する診療を行う場合―のいずれかに該当するケース。医薬品を処方した場合は、「処方料」や「処方箋料」も算定できる。これに対して、現在受診中の患者で新たに生じた別の症状を診断した場合は、これまで通り「電話等再診料」(73点)を算定する。
また、従来から「オンライン診療料」の対象になる医学管理料(特定疾患療養管理料、在宅時医学総合管理料など)を算定していた慢性疾患患者に対して、電話等で医学管理を行った場合は、147点を算定できることとする。既存の「オンライン診療料」は、施設基準の一部を時限的に緩和。新型コロナウイルスの感染が拡大している間は、1カ月の「再診料」と「オンライン診療料」の算定回数に占める「オンライン診療料」の割合が1割以下であることを求める規定の適用を免除する。
一方、厚生労働省の医政局と医薬・生活衛生局は同日、初診からの電話等を用いた診療の実施などに関する事務連絡を都道府県に送付した。この中で同省は、患者から診療の求めがあり、医師が自らの責任の下で電話等による診断や処方が医学的に可能と判断した場合は、初診から実施しても差し支えないと明記(ただし、麻薬と向精神薬の処方は不可)。その際には、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク、健康診断の結果などから、患者の基礎疾患の情報を把握・確認するよう要請した。これが困難な場合は、処方日数の上限を7日間までとし、麻薬、向精神薬だけでなく、抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤といった特に安全管理が必要なハイリスク薬の処方を禁じる。