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無症候性細菌尿を抗菌薬で治療しない[Choosing Wiselyで日常診療を見直す(10)]

No.5017 (2020年06月20日発行) P.30

岸田直樹 (感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部客員教授)

登録日: 2020-06-22

最終更新日: 2020-06-17

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    Don’t treat asymptomatic bacteriuria with antibiotics.
    (Infectious Diseases Society of America:February 23, 2015)

    リスト:日本語訳

    無症候性細菌尿を抗菌薬で治療しない。
    (米国感染症学会:2015年2月23日)

    無症候性細菌尿は治療しない

    抗菌薬の適正使用に関係したChoosing Wiselyの項目は,各国でたくさんみられる。これは皆さんもご存知のように,薬剤耐性菌が世界的・驚異的に拡大し,公衆衛生学的な脅威となっている現状が大きい。抗菌薬の適正使用と言えば「風邪に抗菌薬を投与しない」が有名だが,その次に多くの国で提示されている項目がこの「無症候性細菌尿は治療しない」であろう1)2)

    これは「無症候性細菌尿」つまり排尿時痛もしくは頻尿といった「症状がないが尿中に細菌が十分いる細菌尿」に抗菌薬を使用することは,耐性菌発生につながる抗菌薬過剰使用の主要因子とされるので,使用しないよう警告している一文である。なお,無症候性細菌尿を治療しても腎盂腎炎などの発症は減らせないとされる。妊婦や前立腺手術予定,他の侵襲的な泌尿器科手術予定,腎・腎膵移植後1年以内であれば投与するという例外があることは知っておくべきだが,無症候性細菌尿への抗菌薬使用は臨床的に利益はなく,死亡率も改善しないとされる。

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